ゆったりしてる暇はある

 

主に映画の感想だと思いますが、その他の事もダラダラ書いてます。

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その男、クズにつき。/『THE LOST 失われた黒い夏』 



雑誌「映画秘宝」2008年三月号のその年のベスト作品とワースト作品を決める恒例企画で、宇多丸さんと高橋ヨシキさんのお二人が、同じくベスト10位に選出していた作品で、「ああ、これは観なくちゃ」とずーっと思いつつも、なかなか観る時期を逸してしまい、すっかり僕の頭の中に広がる大宇宙の彼方の怪獣墓場ならぬ映画墓場へと葬られてしまった映画だったのですがっ!!一月に渋谷のクラブアシッドパンダカフェにて行われたタマフルオフ会で、twitterネームtunetakuさんからおすすめして頂いたことでシーボーズのように大宇宙の映画墓場からリターン・オブ・ザ・リビングデッドして、五年の月日を経てようやく観れた映画がこの『THE LOST 失われた黒い夏』なのであります。

って、色々と情報量が多い上に長くて読みづらい文章になったことに関しては無視するとして、この映画大変、素晴らしい作品でした。たぶん、世間的にはあまり知られていない作品だと思いますが、『キラースナイパー』や『ムカデ人間2』等、僕と映画の好みが合う方には間違いなくストライクな作品だと思いますので、こんな感想を読む前にすぐ観てください!そして、いやーないやーな気持ちになってください。


非常にざっくりしたお話。



田舎町に住む若いチンピラ、レイはある日、暇潰しに湖にいた女性二人をライフルで殺害する。
 それから、月日は四年経ち一時は容疑者として疑われたものの結局逮捕されることもなく、いつも通り無軌道なチンピラ生活を送っていたレイだが、ふとしたきっかけから徐々に歯車が狂いだしていき・・・



原作は「鬼畜系作家」(その呼び方凄い)として知られるジャック・ケッチャムの小説「黒い夏」。すいません未読です。ここで、勘のよろしい方なら「原作ケッチャム」「舞台が田舎」「主人公チンピラ」「殺人」というワードから、明るく楽しい映画ではないことだけは予想できると思います。そうです。明るく楽しくないです。なぜなら、主人公である田舎のチンピラ、レイというキャラクターがあまりにもクズい



まず、彼はプライドが高い。というより誇大化している。自分は常にカッコ良くて、強くて、女にもモテちゃう、と思い込んでいるし、周りからそう見られることが生き甲斐。その証拠に彼は、靴に空き缶を入れて身長を高く見せているんですね。自分のことを大きく大きく見せたい人は大変です。

プライドが誇大化しているので、自分は常に王様でなくてはいけません。その為、自分以外の人間は全て「使える」か「使えない」かのモノでしかありません。彼にとって言葉や会話というのはこちらから一方的に話すものなので、相手の考えとか気持ちは関係ないです。相手が何か主張してきたら、とりあえず怒鳴って脅す。それが、ダメなら暴力振るっておしまい。


彼の人間性がとてもよく分かる場面があります。ある日、彼は自分の思い通りにならなかったことがあったので、酷くプライドが傷つけられます。そんな時、一応の彼女(一応と付けたのは彼にとって女はハメる為だけのモノでしかないから)が彼を励ましてあげるのですが、当然彼は人の話を聴きませんから、まぁとりあえずフェラさせます。しかし、それでもイライラが治まりません。じゃあ、どうするか。鏡を見るんですね。だって、鏡には何時も通りのカッコいい自分が写っていますから、それで満足なんです。それが一番の励ましなんです。視野が狭い彼の人間性を非常に端的に示した素晴らしい名場面。いやぁ、イケメンはいいですな。鏡見ただけで励まされちゃうんだから、非常に省エネですね。

どんな言葉よりも鏡に励まされる



ってちげーよクズ。

もうね、正直に白状させて頂きますけど、前々回に書いた『ムカデ人間2』の感想で最低だとかなんだ言いましたけど、本当は僕、かなりマーティンに感情移入していたんです。彼が人々をムカデにしていく様は痛快だったんです。

いや、もちろんマーティンは酷いですよ。許せないですよ。でも、彼は社会から疎外されて生きてきたじゃないですか。バカにされ、蔑まされてきたじゃないですか。だから、僕にとっては、彼が暴力によって人々を、世界を支配していく様は痛快だったんです。そこに、涙したっていいじゃない!映画なんだから。


でもね、レイのように今まで(小さい小さいソサエティの中でだけ)自分の思い通りに生きてこれたから、俺は王様だなんて勘違いしてプライドを誇大化している奴っていうのは心底腹が立つし胸糞悪い。だって、現実にもいるもん。中学生の時にそんな奴ばっか見てきましたよ。死ねってんだ。


しかし、そういう奴っていうのは単純なんですよ。外側ばかりコーティングして中身はなーんにも詰まってないから。
 『オープン・ユア・アイズ』って映画ありましたよね。女にモテモテのイケメンが事故で顔を失ったら、精神崩壊するっていう話でしたけど、あれが分かり易い例ですよ。外側がはがれちゃえば、中身は空っぽ。だから、なーんにも意味がないんです。リメイクの『バニラスカイ』はその空っぽ男をトムクルが演じてたんで、より分かり易かったですが(演じたトムクルはマジで偉いと思う)


まぁ、レイもそういう奴ですよ。でも、それなら、ただのバカナルシストで済むからまだマシ。そういう奴が力を手にしたと勘違いしだしてからが、もう手に負えない。

彼は銃を手に入れて、湖で女を殺したときの心境を、こう語るんですね

 
これって、『ホステル2』の殺人拷問組織で高い金払って、人を殺したがる客側と同じですよね。あれでも、客側の男がこんなこと言ってましたよ「俺たちはこれで本物になれるぞ」


こういう奴らは、たぶん「人殺し」というのを、動物を殺す程度のものくらいにしか思ってないんでしょうね。いやぁクズい。調子こきがやる殺人は、いくら映画だからって全く共感できませんし応援できないですよ。当然、カタルシスだって生まれない。


《警告》ここから若干詳細なネタバレに入ります。




でね、まぁそんな、クズ野郎レイは惚れた、というかSEXが気持ちよかった女にフラれ、一応彼女だった女からも拒絶され、母ちゃんは煩くなり、うざい刑事からマークされていること等の諸々全て自分のプライドが傷つけられたと思い込んだ為、あとは実行あるのみ。銃を手に取り殺戮を開始します。


でね、このクライマックスの殺戮が、まぁすごくて。いきなり始まるんですよ。それも軽快な音楽に乗せて。それでいて、一切の痛快さも皆無。ひたすらアンチカタルシスな感じ。全然規模もテイストも異なりますけど、ちょっと『ランボー最後の戦場』のクライマックスを思いだしたり。

そこから、レイは自分のプライドを傷つけた女を誘拐。奥さんが妊娠している夫婦の家に押し入り、彼らをあんなことしたりこんなこしたりするんですが、ここは映画史上一番不快でした。観ながら「ここにシュワルツェネッガーが殴り込んで、レイの脊髄をバキバキにし、ちんこを切って、生皮剥いで、物質電送機でハエと混ぜて、芋虫人間みたいな姿にして一生生き地獄を味あわせてください。」と心の中でずーっと願っていました。まぁ当然叶わなかったですけど。

ラストのぶつ切り感もいいですね。全くスッキリしなくて。

ってキツいよ。ひたすら胸糞悪かったわ。


という感じで、映画史上一番不快でした。割りとこういうの耐えられる方だと思ったんですが、これはキツい。でも、映画としては本当に素晴らしい映画です。みんな、ジョーカーなんて最高にカッコよくて頭のキレる奴を「真の悪」だなんて言うのは甘過ぎますよ。本当の「真の悪」はもっとクズで薄っぺらでしょうもないですよ。この映画を観ればそれが分かります。おすすめして下さったtunetakuさん本当にありがとうございました。おかげで素晴らしい映画がまた観れました。


では、また今度。

あー胸糞悪い
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Posted on 2013/02/27 Wed. 20:19 [edit]  /  TB: 0  /  CM: 0

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