ゆったりしてる暇はある

 

主に映画の感想だと思いますが、その他の事もダラダラ書いてます。

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『オンリーゴッド』/罪人に優しい歌を(ネタバレ) 



評判からある程度想像はついていましたけど、これは賛否がぱっくりと分かれるのもすごく納得。途中で帰った人もいましたし、エンドクレジットに突入してからの「ああ.......おお....うーむ...」な一体感は凄まじいものがありました。恐らく誘ったとおぼしき男の方が「こんなのに付き合わせちゃってごめんね」なんて謝ってるカップルもいた。あなたが謝ることないと思うよ!

僕もね、観ている間はかなりぽかーんでしたけど、正直今まで観てきたニコラス・ウィンディング・レフィン監督作でなぜだか一番ワクワクドキドキ五感を刺激させられ、最後は理屈をずば抜けて他の映画では味わったことないような感動に行き着かされてしまいました。

で、見終わって五日経つのですが、なぜ自分が『オンリーゴッド』にここまで感動したのかがあくまでも"ストーリー上の理屈の部分で"自分なりに咀嚼出来てきたような気がしなくもなくもないので、ストーリーの順を追ってちょっと書いてみます。なので当然ネタバレ全開です。



《たぶん『オンリーゴッド』ってこういうお話》


まずこの映画について語るには、ポスターには載っていないけどこの映画の実は真の主役である、この方から語らねばなりません。

元警官のチャン

別名:マスクを着けないジャッジドレッド

ライアン・ゴズリング演じるジュリアンの兄がまだ幼い売春婦をレイプし惨殺したことからこの物語は始まる訳ですが、そんなの超絶酷い事件じゃないですか。殺した変態野郎は死んで償うべきですから、チャンは殺された少女の父親に犯人を殺すことをけしかけます。

ここまでは良いですよね。ほんと「俺が法律だ!」を地でいく人と言うか。潔い。

しかし、ここからがスゴい。被害者でもある殺された少女の親父にチャンはこんなことを言うのです「元はと言えば、こんな幼い少女を売春宿で働かせてた貴様が悪い。死んだ娘の罪は償われた。次は貴様が生きている娘たちの為に罪をつぐなえぇぇぇぇええいっ!」


ジャッキーン!

と、どっからともなく取り出した刀であれよあれよと親父の腕を切断してしまいました。しかし、残された娘たちもいますから決して命は奪わない。マジでマジカル。


さらにマジカルなのは、彼は人に制裁を下したあとに必ずカラオケバーに行き永遠歌い続けます。部下たち全員無表情です。けれど、構わず永遠歌い続けます。きっと今日制裁した者たちに対する彼なりの鎮魂歌なのでしょう。そして、家に帰れば娘を溺愛し、家政婦には感謝の念を払い、普段は非常にもの静かで紳士的。

そんなところから分かるように、彼は単なる無差別殺人者でもキチガイでもなく、己の中に確固たる価値観(倫理観と言い換えてもいい)をガッチリと持っている人のようです。自分の損得勘定では動きません。ただただ、死に値する悪に裁きを下す


だが、そんなチャンの裁きによって死に値した暴力レイプクズ野郎にも家族がいる。そこで登場するのが来ました

母親のクリスタル


この女はとんでもない。登場した瞬間から高慢ちきで、なんせ自分の息子のムスコまでも自分のモノにしてしまう、世界を自分中心に回しウーマン。そんな奴ですから弟のジュリアンが「いや、でも兄ちゃんは変態レイプ野郎だったからさ.....」と説得しても「お兄ちゃんにはなんか事情があったの!アンタはあの刀持った猪瀬直樹の首をいいからここに持ってきなさあぁぁぁああいいい!!!」とぶっちぎれ状態。


かくして復讐の火蓋は切って落とされた・・・・・


その間に挟まれる男ジュリアン


彼はウルトラスーパーマザーコンプレックス男です。て言うか、クリスタルに完全に支配されていて手の平で転がされてるも同然。こいつの人生すべてクリスタルに左右されまくりでね。しかも、厄介なのが明言はされませんが恐らくクリスタルと近親相姦的な関係にあったらしく、そのトラウマからなのか、どうやら性的不能を抱えてるらしいと。

でも、例えば兄を殺した親父を許してやったりする面から分かるように、母に支配されてはいても、彼には彼なりのどうしても譲れない価値観であり倫理観がどうやらあるらしいじゃないですか。その価値観はどちらかと言うとチャンの価値観に近いというか。だから、彼は自分を支配しているクリスタルと脅威でありつつ、でももしかしたら自分の信じるものと近いものを感じているチャンとの狭間で揺れ動きまくる訳です。

序盤のジュリアンが現実では会ったこともないチャンと幻想だか夢だかで出会う場面があります。その時は自ら廊下の奥の闇へと向かっていきそこに手を伸ばすと自分の腕が切断される。これは最終的にジュリアンが迎える結末な訳ですが、ここで彼はある意味これから、血で血を洗う暴力によって自分が迎える未来を見たのです。


そして、もうひとつ。兄が殺されたことを知ったあとに、水道の色が赤く染まったことから、また同じような幻想の気配(?っていうかどうにも表現が難しいのだけど)に気付き、また廊下の奥の闇へと向かうと、不安げな表情になり足を止めてしまう。カメラもぐーっと引いていく。そして、部屋に戻るといたのはチャンではなくクリスタル、というこの場面と、先程述べたチャンとの遭遇場面は明らかに対比して描かれていてチャンには惹かれて、クリスタルには恐れを感じているということを早い段階からジュリアンが潜在的に感じているのではないのでしょうか。

そんな、惹かれつつもやはり脅威であり愛する母の憎き敵なチャンにジュリアンは果敢にも戦いを挑みます。お母さんの前で良いとこ見せるんだってことでしょうか。

がんばっちゃうぞ



結果は惨敗。己の拳はチャンにかすりもせず、ジュリアンの顔面はボッコボッコに。

その一部始終を目の当たりにしたクリスタルはジュリアンに、いままで、兄をえこひいきしジュリアンを蔑ろにしていたことを告白し「明日からはいい母親になるから私を守って頑張って!猪瀬直樹を倒してちょうだい!!」なんて言います。きっと、「いい母親になるから」なんて嘘っぱちだと思います。こいつは人を支配することが目的の人間ですから、とりあえずジュリアンにチャンを処理してもらいたかったのでしょう。

そうして、張り切っちゃったジュリアンはチャンが留守の間に自宅に忍び込み、ついに関係ない見張りの警官を殺してしまう、という自分の倫理観に反した罪を犯してしまうのです。とうとうやっちまったな。

チャンへの不意討ちを企むジュリアン。しかし、娘と家政婦が先に帰ってきてしまいました。一緒にいた仲間は家政婦を殺し、次に娘も殺そうとします。が、ジュリアンは仲間を殺し、チャンの娘を助けたのです。やはり、彼には彼なりの譲れない倫理観がいまもあったようです。



そんなこととはつゆ知らず「猪瀬め、ざまあwwww」なんて余裕ぶっこいて世界を自分中心に回そうとしたところに、残念ながらチャンがクリスタルのもとにやってきました。自宅を留守にしたのは5000万借りにいった訳ではなく、クリスタルに罪を償わされるためだったのです。クリスタルは首にグサッと一発やられました。

クリスタルの死体と対峙したジュリアンはクリスタルの腹に穴を開け、おもむろに手を入れる。手を入れる場所がちょうど下腹部辺りなので、ジュリアンは懐かしき母の子宮の暖かさを最後に感じたかったのではないのでしょうか。それは母との完全なる決別宣言ともとれるような気がします。

究極のマザコン野郎を卒業したジュリアンは、ついにチャンからの裁きを受ける覚悟ができました。彼は自分なりの正しい選択をしたのです。覚悟を決めたジュリアンは、以前に見た幻想の光景同様に両腕を切断.........スパッ

チャンチャンチャンチャンチャンチャン.......



このラスト。色々な解釈が出来ますが、この裁きを受ける場所が、それまでの暴力的な赤と冷たい青のネオンに包まれた煉獄のような場所とはうって変わって、広々とした森の中であるということ。それは暴力と欲望に支配された世界から、ジュリアンがようやく開放されたということを意味しているのはないかと。それまでは暴力の象徴であった拳が、手のひらの状態で切断されたというのもそういうことかと。

だから、これからジュリアンにはクリスタルからの支配も暴力からもほど遠い新たな人生が待っているのではと思うんです。両腕は切断されたけど、生死に関しては明言されてませんでしたし。何れにせよ最後の選択が"ジュリアンの意思"によって行われたことは確かでして。だから、「少年がついに大人の男になれるときがきた!」ってアレ。マザコン卒業よかったよかったってさ。いい結末じゃないですか。




たぶん『オンリーゴッド』はそんな映画なのかと自分なりに思います。他にも、色々な解釈が可能ですけどね。例えば、

ジュリアンがクリスタルの腹に手を突っ込むのは、死姦的な意味合いもあるのかしら?

チャンに妻がいないのは、ひょっとしてあの娘は養子?それか母親はすでにこの世にいない?それが彼の強固な倫理観に関係してんの?


とかね。分かんないですけど、まあこうして色々なところにまで考えを及ばせる時点で、なかなかスゲェ映画だと思うのですよ。90分弱の上映時間にも関わらず、全然短く感じさせないほどの濃密さも込みで、『オンリーゴッド』はさっそく今年最大の問題作であり異色作であることは確か。しかし、好き嫌いは分かれてもこういった「観客にも観る覚悟を求めさせる」姿勢であり態度の映画も絶対的に大事だし、価値があると思うのです。


では、また今度。

ちょっと面白そう
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Posted on 2014/02/02 Sun. 23:12 [edit]  /  TB: 0  /  CM: 3

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コメント

すみません、初コメ失礼します。暇があればいつもブログ見させて頂いてます!本当に面白いです。自分もまだまだ未熟な映画好きの学生なので、いつもyou伊東さんの感想には「そんな見方もあったのか!」と毎回驚愕しています。

「オンリー・ゴッド」、僕も前作「ドライヴ」よりかなり面白かったです!ただ結構複雑で、容赦ない描写もあったりしたので賛否両論なのも頷ける気がします・・・そして、僕が到底気づけなかった場所も指摘されていたので、改めてスゴいなぁと思いました。

これからもちょくちょくコメントさせていただくかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします!

モーリー #- | URL | 2014/02/06 22:21 - edit

モーリーさん!コメントありがとうございます。

オンリーゴッドいいですよねー。レフィン監督はドライブの方がらしくなくてこっちが本領なんだなー、と思いました。罵詈雑言誹謗中傷でもコメントならなんでもありがたいので今後も当ブログをよろしくお願いいたしますm(__)m

you伊東 #guJgagMI | URL | 2014/02/08 17:14 - edit

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# |  | 2016/02/21 03:32 - edit

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